2018.05.09 Wednesday
岸政彦さんの新刊、『はじめての沖縄』。
岸政彦さんの『はじめての沖縄』を献本していただいた。
内地の人間としての岸さんが、真っ直ぐに沖縄と向かい合った本だ。
僕は1979年に初めて沖縄を訪ねて以来、自分勝手な「沖縄病」に罹り、沖縄行きを繰り返すなかで、沖縄について考え続けてきた。
そうした中でたどり着いたのは、どこまで行っても、自分は外部(ナイチャー)としてあるということ。そして、そのことに自覚的であることを忘れてはいけないということだった。
写真家としては、その外部の者にしか見えないものを見、写真に撮ること。
この本の中には、僕の写真集『沖縄02 アメリカの夜』にテキストとして寄稿していただいた「彼方と過去」も再掲されている。
岸さんにテキストをお願いしたのは、やはり外部の人間として自覚的であることだった。
そして、沖縄に対する愛が尋常でないこと。
沖縄の複雑さとは何かを、沖縄の人の話しにじっと耳を傾けることによって、より一層その複雑さにはまり込むという困難を経て私たちに分かりやすく伝えようとするが(それは岸さん自身のためでもあるだろう)、その答えはふっと立ち現れては消えていくというのが、『はじめての沖縄』だ。
沖縄は拒絶もしないが、受け入れもしない。
沖縄と日本(そしてアメリカも)。
その「と」という境界について、『はじめての沖縄』が問い続けている。