8/5(木)-10(火)まで、岡本尚文写真展の連携企画「写真、建築を読む」が、ブンコノブンコと言事堂の店舗で行われました。
言事堂では緊急事態宣言延長ということもあり、開催期間を延長して現在も開催しています。
既に終了したブンコノブンコの「建築を読む」のパートをこちらにアップします。
『日本村1969-79』
山田脩二(三省堂 1979)
建築写真家としての氏が、建物や設計者のための写真ではなく日本を知るための眼差しで建物を撮影した素晴らしい写真集。
建築本の仕事で日本中を巡る中、中心と周縁、都市と地方という問題に真正面から向き合った。
当時大学生になったばかりの私に大きな影響を与え、今も沖縄を撮る時に頭の片隅に在る眼差しだ。
建築や建物から言葉を一度差し引いて、それでも浮かび上がってくる意味や時間を認識することが出来る稀有な写真集。
『After the flood』
Robert polidori
(Steidl 2006)
2005年、アメリカ南東部を襲った巨大なハリケーン「カトリーナ」が去った後のニューオリンズの様子を記録した写真集。
300mm×390mmという大判の作り。
建物の外や中には洪水により浸水した痕跡が残り、家具は散乱し、それはまるで廃墟のようだ。
しかし、それが写真になると逆説的な美しさをも孕むのだということを目の当たりにする。
建築的になんのことはない地方都市のアメリカ住宅だが、Robert polidoriによって写された写真には、建築とともに人々が生きた記憶が記録されている。
『団地の空間政治学』
原武史 (NHK出版 2012)
戦後の高度経済成長の流れの中で生まれた団地は、ダイニングキッチンと寝室等により構成される食寝分離の新しいライフスタイルを持つ“時代の最先端”あり、一種の社会現象を巻き起こした。
そうした団地を自分が住んだ経験も踏まえ、政治的な空間として捉え分析し、戦後の日本の政治と歴史をあぶり出す。
『FLAT HOUSE LIFE 1+2』
アラタ・クールハンド(トゥーヴァージンズ 2017)
米軍ハウス、文化住宅、古民家という「既に目の前にある」建築物を平屋=フラットハウスという総称のもと、リノベートし住むことで、生きることを問い直そうとする著者の文化運動推進の為の本。
『沖縄01 外人住宅 OFF BASE U.S. FAMILY HOUSING』
岡本尚文(ライフ・ゴーズ・オン 2008)
戦後の沖縄で駐留アメリカ軍人のために建てられたいわゆる「外人住宅」。
沖縄以外では米軍ハウスと呼ばれる。
その「外人住宅」を、戦争と占領によって強制的に出会わされたアメリカに対して、憧れと憎しみに折り合いをつけながら作った「文化」として捉え記録した写真集。